スタートアップコミュニティとは?参加するメリットや代表的なコミュニティを紹介
公開日 2023.11.13 更新日 2023.11.17
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社会的なイノベーションを創出するスタートアップは、日本の成長に必要な存在だといわれています。一方で、経営や事業に関する相談先がなく、悩みを抱えてしまう起業家も少なくないようです。
そんなスタートアップを支援する仕組みとして注目されている存在に、「スタートアップコミュニティ」なるものが挙げられます。本記事では、スタートアップコミュニティに参加するメリットや代表的なコミュニティ、おすすめの探し方をご紹介します。
<目次>
■そもそもスタートアップとは?
スタートアップとは、これまでにない革新的なビジネスモデルによって社会的なイノベーションを創出し、急成長を遂げる企業を指すのが一般的です。スタートアップと混合されやすい言葉には、ベンチャー企業という言葉がありますが、実際にはこれら2つの言葉は異なるものというのが通説です。スタートアップは世界中からIT企業が集まるアメリカ・シリコンバレーで生まれた言葉であるのに対して、ベンチャー企業は日本生まれの和製英語といわれています。
一般的には、設立から数年の小規模な新興企業をベンチャー企業と呼びます。スタートアップとベンチャー企業は、同じ意味で使われることも多いようですが、正確にはビジネスモデルの在り方が異なるという考え方が主流です。具体的には、以下の違いがあるといえます。
・スタートアップ:これまでにない革新的なビジネスモデルによって社会的なイノベーションを創出する企業
・ベンチャー企業:既存のビジネスモデルをベースに、大企業とは違ったアプローチで技術やサービスを提供する企業
●スタートアップはなぜ注目されているのか
スタートアップは、「革新性」「急成長」がキーワードとなる企業といえるでしょう。アメリカのスタートアップの成功例としては、GoogleやAmazon、Facebookなどが挙げられます。また最近ではスタートアップのなかでも、ユニコーン企業という枠組みが注目される傾向にあります。ユニコーン企業の定義には、次のような条件が挙げられます。
・創業10年以内
・10億ドル以上の評価額
・未上場
・テクノロジー企業
経済産業省の事務局説明資料において、「スタートアップは成長のドライバーであり、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手」と位置付けられています。資料によると国内でもユニコーン企業の数は増えていますが、アメリカ・中国・インドの成長スピードには及ばず、差が開いている状態とのことです。
国際的な競争力を培うためにも、近年は政府系機関によるスタートアップへの政策支援が積極的に議論されているようです。
※参考:経済産業省. 「事務局説明資料(スタートアップについて)」 https://www.meti.go.jp/shingik...
(2023-09-10)
■スタートアップコミュニティとは?

スタートアップコミュニティとは、スタートアップに関わる人々が集まる場を指すのが一般的です。すでに事業を始めている企業はもちろん、投資家やアドバイザー、起業・就職を考えている人など幅広く参加できるとされています。スタートアップコミュニティは、情報交換の場としての一時的な利用だけでなく、そこに集まる人と中長期的なつながりを持てる点が魅力といえるでしょう。
前例のないビジネスモデルや、難解な課題にチャレンジするスタートアップでは、周囲とのつながりが大きな支えとなる可能性があります。業種や業態は違っても、悩みやトラブルを相談する先があれば、スムーズな解決が期待できるでしょう。
●スタートアップコミュニティでは積極的な交流が大切
スタートアップコミュニティに参加するなら、積極的な交流を心がけましょう。交流は、スタートアップの最新情報や現状を把握することにもつながります。成長スピードの早いスタートアップでは、半年の違いであっても数歩先のステージで事業を展開している可能性があるため、先輩起業家とのつながりも大切にしたいポイントといえます。
先輩起業家の成功体験や失敗談を聞くだけでも、多くの学びがあるはずです。また、さまざまな分野の情報が入手でき、新たなビジネスチャンスにもつながるでしょう。さらに、他者にとって有益な情報を用意しておくと、スタートアップコミュニティでの会話の糸口としても役立ちます。「どんな目的でスタートアップコミュニティに参加するか」を明確にすることで、有意義な交流が図れるでしょう。
■スタートアップコミュニティに参加するとどんなメリットがある?
スタートアップコミュニティに参加する主なメリットには、次の3つが挙げられます。
・認知度アップや資金調達のチャンスがある
・ベンチャー企業のリスク対策につながる
・ベンチャー企業への就職希望者へアピールできる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
●認知度アップや資金調達のチャンスがある
スタートアップコミュニティには、スタートアップ企業に興味のある大手企業などが参加することもあります。うまくいけば提携や資金調達の話につながる可能性もあり、ビジネスチャンスが広がるでしょう。スタートアップの資金調達には、次の方法が挙げられます。
・大企業によるスタートアップ投資
・銀行からの借入
・補助金・助成金の利用
・投資家からの出資
・クラウドファンディング
スタートアップにとって、企業の認知度の低さは大きな課題だと考えられています。どれだけ革新的なアイデアでも、認知されなければ社会的なイノベーションを生み出すことはできないでしょう。より多くの人や企業に知ってもらうためにも、積極的にコミュニティに参加することは有効な手段といえます。
●スタートアップ のリスク対策につながる
コミュニティに参加することで、実際にスタートアップを経験した人や、さまざまな事例を見てきた投資家との交流が期待できます。そうした人からリスクの見つけ方や回避策、ノウハウを学ぶことで、安定した経営が目指せるでしょう。スタートアップで想定される主なリスクは、次のとおりです。
・資金が調達できない
・人材が定着しない
・アイデアや技術が事業化できない
前例のない分野に挑戦するときは、思いがけないトラブルが発生する可能性があります。トラブルが起こってしまっても、相談先があるだけで解決の道筋がつかみやすくなるでしょう。
●スタートアップ への就職希望者へアピールできる
企業の認知度の低さは、人材確保にも影響を及ぼすと考えられます。採用に苦労するスタートアップは多く、大手企業と比べると離職率も高い傾向にあります。より良い 採用活動を行うためには、知名度や安定を求める求職者ではなく、スタートアップに興味を持つ人にピンポイントでアプローチすることが重要なポイントとなるでしょう。
スタートアップコミュニティには、学生や転職希望者が参加することもあるため、確度の高い採用活動の場にもなり得ます。直接会話を交わすことで、自社の存在を認知してもらい、就職希望者へアピールできるでしょう。
■スタートアップコミュニティの運営企業
スタートアップコミュニティは、大きく3つの種類に分けられます。
・プラットフォーム型
・対面型
・自治体主導型
プラットフォーム型は、登録するだけでスタートアップに関わる日本中の人と交流できるコミュニティを指すのが一般的です。対面型は、会場をレンタルして実際に顔を合わせてコミュニケーションがとれるタイプのコミュニティをいい、会場には貸会議室やホテル、レンタルオフィスなどが使われることが多いです。また、近年では自治体が主導するコミュニティも増えているようです。
ここからは、プラットフォーム型のスタートアップコミュニティを運営する企業と提供しているサービスをご紹介します。
●Creww(クルー)株式会社
Crewwは、「大挑戦時代をつくる。」をビジョンに掲げ、スタートアップが仲間・資金・チャンスに出会えるサービスを提供している企業です。2012年に設立した会社で、スタートアップだけでなく、事業会社や個人を対象とした幅広い支援を展開しています。Crewwの主なサービスは次のとおりです。
・Creww Growth
・STARTUP STUDIO by Creww
それぞれのサービス内容を見ていきましょう。
※参考:Creww株式会社. 「会社概要」
https://creww.in/corp, (2023-09-25)
※参考:Creww株式会社. 「Crewwの事業領域」
https://creww.in/business, (2023-09-25)
・Creww Growth
・Creww Growth
Creww Growthは、スタートアップと企業の出会いをサポートし、協力して事業・開発が行えるプラットフォームです。クラウド型のオープンイノベーション支援サービスとなっており、企業や自治体が募集しているプログラムを検索し、気になったイベントにエントリーできます。大手から地域密着型の企業まで幅広く参加しており、これまで350回を超える開催実績があります。※参考:Creww Growth. 「Creww Growth公式サイト」
https://growth.creww.me/, (2023-09-25)
・STARTUP STUDIO by Creww
STARTUP STUDIO by Crewwは、新規事業の立ち上げや、起業の準備に特化したプラットフォームです。プロジェクトの仲間やメンバーを集めることもでき、「ゼロイチ」に挑戦する人をサポートします。ビジネスにおける「ゼロイチ」とは、まだ世の中にない新しい技術やサービスを創出することを意味しており、スタートアップでも重視されている考え方です。
※参考:STARTUP STUDIO by Creww. 「はじめてガイド」 https://studio.creww.me/pages/guide/, (2023-09-25)
●PROTOSTAR(プロトスター)
PROTOSTARは、起業家コミュニティの発足をきっかけに設立された企業です。起業家やコンサルタント、事業売却経験者などが在籍しており、専門的なノウハウ・知識を生かしたサービスを提供しています。PROTOSTARの主なサービスは次のとおりです。
・StartupList
・企業LOG
・JP STARTUPS
・Swing-By
・STARTUP M&A
それぞれのサービス内容を見ていきましょう。
※参考:PROTOSTAR. 「TEAM 起業家を支援するプロフェッショナルのチーム」
https://www.theprotostar.co/team, (2023-09-25)
・StartupList
StartupListは、起業家と投資家が検索し合えるマッチングプラットフォームです。投資家も起業家も審査制なので、安心して利用できます。プランは「無料」「有料」の2種類が用意されているので、目的や予算に合わせて使い方が選べます。会員限定のイベントも定期的に開催されており、資金調達や事業内容に関する相談も可能です。
※参考:PROTOSTAR 「StartupList」
https://www.theprotostar.co/service/startuplist, (2023-09-25)
※参考:StartupList 「全ての起業家に¥資金調達の選択肢を」
https://www.startuplist.jp/, (2023-09-25)
・企業LOG
企業LOGは、スタートアップ向けの情報を提供するWebメディアです。会社設立や資金調達に関する実践的な記事から、起業家へのインタビューまで、幅広い情報を発信しています。記事には、さまざまな専門家が関わっており、法人向けサービスのリアルな評価や評判を知ることができます。
※参考:PROTOSTAR 「起業LOG」
https://www.theprotostar.co/service/kigyolog, (2023-09-25)
・JP STARTUPS
JP STARTUPSは、スタートアップの取り組みを外部に紹介することで、挑戦する起業家を応援するメディアです。スタートアップの魅力を社会に向けて広く発信しています。YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」にて、コラボ番組も配信されています。
※参考:PROTOSTAR 「JP STARTUPS」
https://www.theprotostar.co/service/jpstartups, (2023-09-25)
※参考:JP STARTUPS 「JP Startups とは」
https://jp-startup.jp/about/, (2023-09-25)
・STARTUP M&A
STARTUP M&Aは、スタートアップを対象としたM&Aの仲介サービスです。経験豊富な専門家が、マッチングからクロージングまでワンストップでサポートします。「資金調達か売却か、どちらにすべきか悩んでいる」などの相談もできます。完全成功報酬となっており、着手金・中間報酬・月額報酬がかからないところもポイントです。
※参考:PROTOSTAR 「スタートアップM&A」
https://www.theprotostar.co/se... (2023-09-25)
※参考:スタートアップM&A. 「スタートアップ経営者に寄り添ったM&A」 https://startup-ma.net/ (2023-09-25)
■スタートアップコミュニティを探す方法

スタートアップコミュニティは、さまざまな企業・自治体によって運営されている事が多いです。地域限定で活動しているケースもあるため、自社に合ったコミュニティを探すのに苦労することがあるかもしれません。ここでは、スタートアップコミュニティの具体的な探し方をご紹介します。
●SNS
一つ目の方法は、SNSでの検索です。X(旧Twitter)やF acebookなどで、「スタートアップコミュニティ」と検索すると、参加者を募集している投稿が見つかることがあります。興味があるものは、積極的に返信やDMでアプローチしてみましょう。SNSで情報収集する場合は、主催者だけでなく、参加者の投稿もチェックするのがおすすめです。
●イベントに参加する
2つ目の方法は、イベントへの参加です。スタートアップ向けのイベントに参加することは情報収集や人脈作りに役立つでしょう。国内では、次のようなイベントが開催されています。
B Dash Camp
国内外からインターネット業界の一線で活躍するキーパーソンが集結するイベントです。招待制カンファレンスとなっており、3日間にわたってさまざまなプログラムが開催されます 。
https://camp.bdashventures.com...
IVS
2007年に開始された日本最大級のスタートアップ企業経営幹部が集まるカンファレンス&コミュニティです。ピッチコンテストや日本最大のクリプトカンファレンスなど、多彩なラインアップとなっています。
https://www.ivs.events/ja
Innovation Leaders Summit
2014年にスタートした大手企業とスタートアップのマッチングを目的とするイベントです。経済産業省や東京都などが後援しています。 https://ils.tokyo/
Tech in Asia Tokyo
世界中の企業家、投資家、テクノロジー業界関係者が集まるアジア最大級のイベントです。有名企業の社長による講演やディスカッションが人気です。
https://www.newsbase.co.jp/wor...
モーニングピッチ
毎週木曜AM7時から開催しているピッチイベントです。短いプレゼンテーションを通して、スタートアップと大手企業との事業提携を生み出します。
デロイト トーマツ イノベーションサミット
多面的な角度からイノベーションについての最先端のインサイトを発信する、デロイトトーマツグループ主催のイベントです。外部有識者やオピニオンリーダーによる基調講演などが開催されます。 https://park.deloitte.jp/event/1
■まとめ
コミュニティに参加することで、スタートアップに関わる人との交流が生まれ、有益な情報が収集できるでしょう。企業の認知度アップやリスクの回避策が学べるところも、スタートアップコミュニティのメリットといえます。
革新的な手法で新たな価値を創造するスタートアップ企業にとって、人とのつながりが事業の成功を左右することもあります。さまざまな業種・業態の人が働くレンタルオフィスは、情報収集やコミュニケーションの場としても活用できます。
野村不動産グループのサービスオフィス「H¹O」は、快適な職場環境の提供はもちろん、入居者様同士交流会を随時開催することによってさまざまな面からスタートアップの業務・成長をサポートいたします。 オフィス見学も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。